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中国面白体験記その70<中国文化:中国漢方薬>

<中国文化:中国漢方薬  2016/04/13

 

↑↑ここは日本でも中国医学を勉強している人にはお馴染みの「同仁堂」という中薬屋さんの北京総本部です。

中国語では漢方薬のことを「中薬」といいます。しかし本来の漢方薬の考え方は予防医学に近いものがあります。しかし日本人が考えている「予防医学」とはちょっと違います。そもそも中国には予防と治療の区別が無いのです。もちろん病気がおきてからその病気を治療したり症状を抑えるという漢方薬の使い方もありますが、そうではなく、本来であれば病気になる前に病気にならないような食生活を心がける、というわけですね。病気になる前の病気を治療する、という意味で「治未病」という表現もあります。「上工治未病=上工(本当の名人)は未病を治す」です。

といってもどこも悪くないのに毎日漢方薬を飲んでいるという意味ではありません。そこで登場してくるのが日本でもお馴染みになっている「薬膳」です。食事=薬という考え方です。美味しく食事を楽しみながら病気にならない体をつくろう、といったいかにも中国人らしい考え方、とでもいいましょうか。「医食同源」というわけですね。

しかしこれらは13億の中国人の全員が毎日実行しているわけではありません。むしろ限られた人でしょう。どのような食べ物が自分を助けてくれて、自分を健壮にしてくれるのか?それを知るためにはまず自分の体質を知っておく必要がありますが、それは専門に勉強しないとわからないものです。自分の体質はどんな体質でどのような食べ物を採ることによって健康になるのか?それを知る必要があります。とはいえ一般の人たちも日本と比べたら比較にならないほどマッサージや治療の知識や技術、また豊富な食物の知識をもっていなす。

ところで、いま13億の中国人といいましたが、隠れ人口もかなりの数のようですから13億以上の人口ということになります。最近まで行われていた「1人っ子政策」は2人め以降の子供を産んでも、お金を払えば戸籍に登録できましたが、お金を払わないと戸籍登録できないのです。だから例えば農村の貧乏な家庭が多いところでは無戸籍の人も多いようです。中国の田舎の方に行くと、上海や北京とはまったくの別世界だと思ったほうがいいです。医療や教育も甚だしく遅れていますから、都会の人の常識が通じない部分があります。しかし日本でもかつて僻地では都会部とは隔絶されていたため、奇病があったり文盲率が高かったりしましたが、ほぼ同様な状況だと思えば良いです。中国は広大な国なので、日本で100年かかって進歩してきたものが、広い大陸をゆっくり伝わっていくため遅いのです。それが証拠に中国ではいまだに文盲率が高いです。

さて治療漢方ですが、中国漢方薬中国医学の一部ですから、中国医学と一体となっていないと充分な効力を発揮しません。それが先ほどお話した「見立て」の部分です。中国医学のドクターが充分に診察をして患者さんにもっとも適した漢方薬を処方するのです。そのドクターが名医であればあるほど、漢方薬の効果には目を見張るものがあります。

これは実話だそうですが、日本の或る芸能人がアトピー性皮膚炎で悩んでいてどこの病院の皮膚科に行っても一向に改善されない。そこで中国医学のある高名なドクターを頼って中国の北京まで渡って診察を受けたそうです。そこで問診を受け漢方薬を処方してもらったら、なんと3回ほど飲んだだけで治ってしまったというものです。

中国医学の場合、日本のように先進医療機器を駆使して検査をしません。ではどうやって検査をするのか?それは問診、眼診、舌診、臭診、皮膚の状態を診る。それから治療法を決定する。針を打つか?漢方薬を与えるか?按摩か?それで充分に治療効果が上がっているのです。我々は「科学」という迷信に惑わされているのではないでしょうか?財布がふくれて嬉しいのはハイテク医療機器メーカーや医薬業界、病院経営者だけです。

その判断基準となっているバックボーンの思想が「陰陽五行学」です。暖めたほうがいいのか?冷やした方がいいのか?患者さんが熱を持ちすぎているときは冷やすか吸い取るかして、体が冷たい場合は熱を与えるのです。湿っぽいか乾いているか?それらのものに気候とかいった外因から病気が発生する。もうひとつは外部要因が作用して人の感情を引き起こし、心に偏向性がでてくる。すると病気は出来上がっていく、というものです。中国医学の考え方はウイルスがあって、ワクチンがあって、といった二元論ではないのです。

たとえば、これから暑い季節がやってきますが、真夏に本当ならば汗をかいて体を冷やさなければいけない状態なのに、エアコンで無理やり冷やして汗を止めてしまうわけです。そのたに起きる病気が「冷房病」。冷たい水を飲みすぎたり風通しのよすぎる場所で長いこと寝ていてもこの病気にかかります。中国医学では「暑兼寒湿」といい、どの導引(マッサージ・体操)が効果があるか、どの漢方薬がいいのか?それも同時に風邪とか下痢といった他の病気がないかどうか、体のどこかが凝っていないかどうか、等々をみて、総合的に判断します。

生き死にに関わる病気は別として、普段から僕たちは自分で自分の体を治すといったクセをつけておいてちょっとした不調は自分で治すようにしましょう。「科学」という迷信・新興宗教(古代民間療法のほうが伝統的なのです)にだまされないでください!

KOSEI