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ユダヤ人と脱出=密使の静脈

< ユダヤ人と脱出=密使の静脈 >

ユダヤ人には歴史的に見て「脱出」という観念がついて回っていたといわれています。世界中を放浪してきた過酷な運命がそうさせたのではないかと思います。

1146年から1225年頃までマラガという土地には約200人ほどのユダヤ人が住んでいたようです。時代は下って1487年8月18日、キリスト教アラゴン王フェルナンドが妻イサベラと共に回教徒軍との戦闘に勝利しマラガを占領したとき、同市には約100家族総勢400人ないし450人のユダヤ人が居住していたようですが、これらのユダヤ人は全員が捕虜となり、その身代金1000万マラベディス(=10,000ダブロン金貨相当とのことですが、スペインの昔の通貨単位なのでよく判りません)の金額を支払わなければ全員が虐殺されることになりました。

そこでマラガのユダヤ人居住区の長老たちはアブラハム・セニオルおよびセゴビアのメイアと呼ばれている二人の青年を密使(エミツサリー)に任命し、スペイン各地、特にアンダルシヤ地方に散在するユダヤ人居住区における募金運動によって身代金をまかなうことにしました。この二人の密使は立派にその重責を果たし、その全額を回収することに成功しました。そしてユダヤ人捕虜は全員無事に釈放されました。

しかし1492年2月以降マラガからユダヤ人の姿は完全に消滅しました。フェルナンド王は、全財産を放棄させ翌朝までにユダヤ人は全員を国外追放するという過酷な命令を下したのです。このように中世期を通じて各地ユダヤ人居住区を連絡していた密使の存在は非常に大切なものでした。

不思議なことにこの「密使」という言葉は、無味乾燥なはずの解剖学用語とぴったり重なり合う。私たちの脳へ運ばれる血液-そのエネルギーによって意識が保たれ、精神活動がいとなまれている-は主として頸動脈や椎骨動脈によって送りこまれている。つまり、頭蓋骨の外部と内側を直接貫通し、結びつけている血管は存在しない。だがその例外的存在がある。頭蓋骨を貫通して頭蓋内部から直接頭部の皮膚へ血液を送り続けている静脈がある。この奇妙な静脈の名称としてなんと「密使の静脈(エミツサリウム)」という学名が使われているというのです。

** ちなみに現在専門的には導出静脈( Vena Emissaria. PNA; Emissarium.JNA )というそうです。

中世ユダヤ思想へ入るためには様々な予備知識が必要になります。