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魔術実践に於ける地の利

< 魔術実践に於ける地の利 > 

以下はイスラエル・リガルディーによる「召喚魔術」の訳者である日浦幸雄氏の研究成果を引用させていただいたものです。僕自身も召喚魔術は数多く実践してきましたが、日浦氏の仰ることはいちいち頷けます。魔術というと一般的には「西洋魔術」を指しているわけですが、西洋で生まれたこの魔術のある部分は日本の土壌でおこなう場合、いくらかの工夫をしたほうがシックリとするというわけです。ではイスラエル・リガルディー著「召喚魔術」の解説にある日浦氏の小論文です。ある程度学習が進んだ人を対象にしているので、意味不明な単語も出てくるでしょうが、そこらへんはスキップして大意をつかんでください。または質問を下されば、いつでもお答えします。

ここから引用・・・・・

東洋の象徴体系の利用ー魔術実践における諸要素

東洋魔術的な分類法を用いれば、魔術実践において留意すべき要素も《天》《人》《地》に分けて理解するのが便宜である。

《天》とは<天の時>、すなわち時間的な要素

《地》とは<地の利>、すなわち地理的な要素

《人》とは<人の和>、すなわち集団儀式においてはその団体の個々の構成員とその総計、個人儀式においてはその個人の内部にあるさまざまな属性とその総計の配慮を意味する、人的な要素。

**このあと《天》と《人》に関して少し立ち入った説明がありますが、中略し、今日はここで《地》に関した部分の説明が興味深いので、それを引用します

このように《天》と《人》の要素については、本邦で紹介されてきた西洋魔術においても、従来日本で行なわれてきた東洋魔術とはほぼ対応しているのだが、これに対して《地》の力ーむしろ力流と言った方がよいーの利用の方法、あるいは、地理的条件を配慮すべきことは、対応関係が成り立っていないばかりか、比較的無視されてきたように思われる。それは、紹介されてきたものの中でも主流を占める《黄金の夜明け団》あるいは《A∴A∴》系列の西洋魔術の象徴体系が、当然のことながら、西洋人の文化的背景をもったものであり、それを直接に東洋の一国である日本に当てはめるのには無理があったからである。《天》の時間の理解のしかた、《人》の人間の生体エネルギーの発動方法、意識の属性分類法は西洋の象徴体系をなんとかそのまま利用することができた。しかし、《地》の地勢的な力の属性は、すでにその土地に設置された神社仏閣という形で日本流の象徴体系が堅固なものとしてできあがっており、これを無視するわけにはいかないのである。

では、どうすればよいのか。ひとつは、河の流れや地脈のあり方を地図上なり実地なりで調べて、それに西洋魔術を適用するために適した属性を考えることである。もう一つ考えられるのが、せっかく先人がつくっておいてくれた象徴体系を大いに利用することである。

例えば、ジュピター召喚を試みたいとする。クロウリーの『777の書』を引っ張り出して見ると、ジュピターは4番目のパスに照応しているのがわかる。これと同じパスにあるヒンドゥー神格を見てみると、インドラが該当している。インドラは日本では帝釈天として信仰されている。ところでジュピターは雷の神であり、神々の王として君臨していたという。インドラ=帝釈天も同じく雷の神であり、神々の王である。とすると、帝釈天を奉ってある寺のある山は、ジュピター召喚に適しているのではないか。

逆を考えてみる。弁財天を奉っている洞窟があったとする。同じく『777の書』を引いてみる。残念ながら、弁財天のヒンドゥー神格名サラスヴァティーはない。ここで一考してみる。弁才天は清らかな水の流れを神格化したものである。とすると、水に関する属性を持っているウンディーネの喚起に適切な場所なのではないか。

たまたま『777の書』を引き合いに出したが、これに縛られる必要は全くないし、一応の目安程度に捉えておく方がいいだろう(権威に丸め込まれてはいけない)。他人の言葉で表現された観念的同一性のみに頼らず、自分の感覚の中の同一性を大切にすること。オリジナリティーと魔術学習の程度が問われるところである。

ある程度まで魔術の学習が進んだ者は、天文暦や天体観測のソフトウェアを持っていることだろう。これに加えて、魔術実践地は、普段は自宅だろうから、自宅周辺の地図を手に入れるのである。神社仏閣の配置を見たり、山稜線などを辿ると、その土地の力流とでもいうべきものが徐々にわかってくる。レイ・ラインというやつだ。その神社仏閣の縁起譚なども参考になるだろう。京都や江戸、鎌倉などの古都の地図を研究してみるのも非常に勉強になる。これらの都市は、風水を十分に利用しており、その点を指摘した書籍も多いからだ。そして現地を歩くと、その要所要所に今まで見過ごしてきたおそるべきものー例えば逆五輪による封じ込めーを発見し、驚愕するであろう。

・・・・・ここまで引用

長い引用でしたが、いかがでしたか?中級クラスの魔術師用の論文ですからちょっと分かりにくいところは間々あったかと思いますし、また実践を踏んでいないとピンと来ない部分や知識もまだ追いつかない部分もあったと思いますが、これから勉強を重ねていって下さい。まず興味を持つことが大切です。

KOSEI