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KOSEIのブログ

自分の可能性をどこまでも

中国語の諧音について

僕は中国で仕事をしていた関係もあり、いちおう中国語は勉強しました。「いちおう」というのは、最初中国に会社を設立した頃は通訳がいたので、言葉にはまったく困らなかったのです。でも1年も経った頃、直接中国人とコミュニケーションが取れないのもつまらなくなってきて、毎日通訳の女の子から終業前30分の時間を使って個人レッスンをしてもらったのが始まりです。

1年も経ったころには日常会話は話せるようになりました。これを外国語を勉強している人にいうと、「え?1年でですか・・・・!」と驚き「ずいぶん進歩が早いですね」とか言い出します。それも僕が「いやいや、キチンと学校へ通ったわけじゃないんで」というと、さらにビックリするのです。思うに日本人の意識は「語学学校に通って少なくても5年間ぐらいは努力しないと話せるようにはならない」という常識があるようですね。1年やってみたけれど挫折した人は英語・中国語問わず結構多いようです。

でも人間の脳の物理的な性能に違いはないそうですね。その人の能力に蓋をしてしまうような心理作用(例えば抑圧とかトラウマ)がその人の能力に制限を設けるようです。僕の場合さいわい中国に居住できる機会を得たので、語学の進歩も早かったのだと思います。そして最初の1年間はまったく勉強はしなかったものの(ほんとうにまったくしませんでした)、朝から晩まで中国語漬けですから「ヒアリング」は充分にできたわけです。その点日本国内の学習者は大きなハンディを背負っています。ナマの中国語を聞く機会などはまずないということで、これは致命的です。外国語の会話の勉強でまず大切なのは「聞き取り(ヒアリング)能力」だからです。日本人学習者がこれをクリアするためには、CDとかDVDの教材をうまく使って、なるべくナマの中国語に触れることです。

このブログは中国語学習ブログではありませんので、中国語のおもしろい話題があれば提供していきたいと思います・・・・・。さて「中国語と中国文化」という面白い本があります。魯宝元という人が書いた本で、北京の「華語教学出版社」から出ています。今日の話題は「諧音」です。中国語には「諧音(かいいん:中国語の発音では-xieyin-シエイン)」というものがあります。これは違う漢字でも音が同じで意味は違うということです。同音異義語ですね。日本語でも「橋」「箸」「端」と同じ「ハシ」という発音なのにイントネーションの違いによって意味はまったく違いますね?中国にはこれがとても多いのです。以下、同書「中国語の諧音と中国文化-「施氏食獅史」-中国語語音の諧音現象」より転用します。

有名な言語学者の趙元任は『施氏食獅史』と題して次のような物語を書いた。「石室诗士施氏,嗜狮,誓食十狮。氏时时适市视狮,适十狮适市,氏恃矢势,使十狮逝世。氏适石室食狮,石室湿,氏拭石室,试食十狮尸,食时,始识是十狮尸,实十石狮。」物語の意味はこういう事である。「石造りの家に住んでいる施という名の詩人は獅子が好物であった。彼は十匹の獅子を食べる誓いをたてた。それで彼はよく市場へ獅子を探しに出掛けた。ある日折りよく十匹の獅子が市場に出て来たので、詩人は弓矢の腕を発揮して十匹の獅子をしとめた。彼は石造りの家に帰って獅子の屍体を食べようとしたが、部屋がじめじめしているので、しめりを拭き取ってから獅子を食べかけたときになって、やっと十匹の獅子が実は十匹の石の獅子であることに気づいた。」

この物語は「shi」という音節の漢字だけで書かれており、もしも文字を見ないで音だけを聞いたのでは、ただちにその意味を理解するのは困難である。趙元任は中国語の中に同音異議語や音の近い字が多いという特徴を説明するために、この物語を書いたのである。字音が同じか、あるいは近い音を中国語では「谐音(xieyin)」という。

中国語にはなぜこのように諧音が多いのだろうか?これは中国語の音声の系統によるものである。中国語の音声には声母が21韻母が39あり、構成される音節は400以上にのぼり、しかもそれぞれの音節には四つの声調があるので、声調が同じでない音節は全部で1600以上となる。ただし、実際に使用される音節は1300余りにすぎず、この1300余りの音節で数万にのぼる語素(形態素)の発音のすべてが表示できるので、中国語のなかには発音の同じか、または近い語素がとくに多く、したがって当然のこととして発音の同じ、または近い語素から成る言葉に諧音語が多くなるのである。

同書にはこのあと日常生活での諧音の実例を示していて大変面白いのですが、次回にご紹介します。中国人同士の会話上でも聞き取れなかった場合は「声母」と「韻母」の組み合わせを確認しながら対話を進める場合もありますから、日本人である僕たちがそのようにして相手に確認を取っても何ら恥ずかしがることはないのです。日本人は完ぺき主義であると同時に恥ずかしがり屋なので解からないまま話を流してしまいますので、勇気を出して相手に聞きましょう!

**なお文中の「形態素」とは、「単語」のさらにひとつ下のレベルのもので、だいたい一つの漢字が一つの形態素に当たります。形態素のなかには漢字ひとつで独立して単語として使えるものと、単独では使えないものとがあります。基礎から丁寧に書いてある参考書にはここら辺が書かれていますが、即使えることを目的として書かれたハウツーものには、書いてありません。初心者の方はなるべく基礎中の基礎から書かれている参考書をオススメします。

↓↓この曲は「最远的你是我最近的爱」という名前の曲なのですが、直訳すれば「最も遠くにいる君は僕の最も近い愛」とでもなるのでしょうか。遠距離恋愛の歌かな?これまた僕がカラオケで唄いまくった曲です。

https://www.youtube.com/watch?v=ZSE0ArNULzc