KOSEIのブログ

自分の可能性をどこまでも

『沈黙の声』より

『沈黙の声』より

14 ) 汝の魂が明るき日光を浴びて微笑み、汝の魂が肉と物質の蛹(さなぎ)の中に喜び歌い、汝の魂が幻影の城内に泣き、汝の魂が正覚の大師と汝を結ぶ銀の糸を断ち切らんとしてもがけば、知れよ、おお弟子よ、汝の魂は穢土(えど)に属するものなるぞ。

15 ) 汝の醒めかけたる魂が、世の騒ぎに耳傾け、汝の魂が大いなる幻影の吼ゆる声に和し、苦悩の涙を見ておののき、悲しみの叫びに耳聾(みみこ)したらんは、汝の魂は、海亀の如く小我と称す甲の中に縮み込まん。おお弟子よ、心して汝の沈黙せる神に学べ。然れらざれば汝の魂は虚廃の宮とならん。

16 ) 汝の高慢力を増さば、汝の魂は安泰の静けき住居をのめり出し、守護宮を破って出で、銀の糸を拡げて前進し、大空の波の上に己(おのれ)を見て言わん、「これ我なり」と。おお弟子よ。然る時汝の魂は、妄想の蜘蛛の巣に捉えられたるなり。

17 ) 弟子よ、この世は、大なる悲哀の世界なり。そこにはもの凄き試練の道備えられ、大異端と称する欺瞞(*1)によって汝の大我を陥るる罠あり。

18 ) ああ無明の弟子よ。この世界は、夜明けに至る陰惨なる入り口に過ぎず。更に進んで光の野(*2)に出ず。その光は風に消ゆることなく、燈心なく、薪(たきぎ)なくして燃ゆ。

19 ) 大法にいわく、「自然と人とを知り、至上我と宇宙我(*3)とを知らんがためには、まず真我の何ものなるかを知らざるべからず」真我を知らんと欲しなば、先ず小我を棄てて無我たらざるべからず。無我たり得て、汝はハンサ(*4)の両翼の間に憩うことを得。

おお生死なき翼の休み得るは如何に楽しきかな。これ永劫に楽しきかな。これ永劫に不退転(*5)なればなり。

20 ) 知らんと欲しなば、ハンサ(*4)に打ち乗れ。

21 ) 生きんと欲しなば、生命(いのち)をすてよ。

 

*1 大異端と称する欺瞞:宇宙の御親より離れて孤立している魂である汝は、大異端であると欺瞞されること。

*2 光の野:魂の広がりをもつ神と一体の世界。

*3 至上我と宇宙我:真我(アートマン)と梵(ブラフマン)。

*4 ハンサ:大鳳。神に至る白烏。象徴的にいったもの。不死永遠の象徴。

*5 不退転:原語はアウム。アはハンサの右翼。ウは左翼。ムは尾羽で、不死永遠の象徴であるハンサに打ち乗ること。