KOSEIのブログ

自分の可能性をどこまでも

エノク魔術(Enochian Magick)

< 尽きせぬ興味=エノク魔術(Enochian Magick) >

いままで端緒をご紹介してきました諸々の魔術体系はも興味が尽きないものがありますが、この「エノク魔術 Enochian Magick」ほどの魅力はありません。ここではひとつ『高等エノク魔術実践教本』の序から転載し、エノク魔術の紹介をここでしたいと思います。

■■■転載開始■■■

エノクと呼ばれる魔術の分野は、近代においては、ジョン・ディー博士(1527~1608)によって明らかにされた。ディーは、数学、航海学、天文学、そして光学の権威だった。そして、またエリザベスⅠ世お抱えの占星術師でもあった。彼の魔術のパートナーであったエドワード・タルボットは(のちにケリーという名に変わる)4つの《物見の塔》と30の《アィテール》として知られる精妙な区域の記述の際に、彼を手伝った。これらの内容は、これらを支配する神々(deities)と共に、現在エノク魔術として知られる強力な魔術体系の中核を形成するものであった。

ディーは「スピリチュアリズムの先駆者」と呼ばれてきた。というのも、彼が自分の魔術作業のすべてについて極めて精密な記録をとっていたからである。しかし、彼は主に、「スクライング」として知られる方法を使っていた。そして、水晶、あるいは「見者の石(シュウ・ストーン)」を前にしてケリーが見た霊やヴィジョンを記述したのだ。しばしば、《物見の塔》や《アィテール》からやって来た天使が彼等の作業を助けたこともあった。たとえば、彼等の「案内者」の一人だった、マディミという名前の若い妖精の少女などは、7年間にわたって彼等の前に現れたのである。

ディーの霊的研究は、19世紀の終わり頃にあるオカルティストと魔術師のグループがその《魔術》を取り上げるまで、ほとんど表には出てこなかった。《黄金の夜明け団》が、ディーのエノク魔術の儀式や文献から言葉や言い回しを借りて使用したのだ。しかし魔術師がアデプタス・マイヤーの位階に上がるまでは、この魔術体系の鍵は与えられなかった。《霊の幻視》のスクライング(魔術の過程では時々アストラル旅行と呼ばれている)のためのエノクの召喚がそれらの魔術作業の一部になっていた。しかし、ディーは何千年も前に不幸な運命をたどったアトランティスの人々に知られていた古代の体系を再発見したに過ぎない、と《黄金の夜明け団》では教えていた。エノクのアルファベットはアトランティスで使用されていたものに直接由来すると言われていたのだ。

H.P.ブラヴァッキーによると、「エノクとは、いつであれ、どこであれ、多くの人々によって、用いられ、作り出されたものの総称なのだ」(『シークレット・ドクトリン』)。彼女はエノクをエジプトの神のトートと同一視していた。トートは、人間に言葉、法律、医術そして科学を与えた神であった。「エノク」という言葉は《見る者》または《秘密の叡智を持つアデプト》を意味した。だから、エノク魔術はひとりの人間によって作り出されたものではなく、今では失われた歴史の中で徐々に発展していったものなのだ。エノクのアルファベットと言語は、実際、少なくともこの北半球では、人類とほとんど変わらないくらい古い歴史を持つものなのかもしれない。また確かに、それらは『ネクロノミコン』や、ラヴクラフトなどに用いられる名前とはっとさせられるような類似性がある。しかし、そういったものの起源は今では我々の初期の歴史の中に埋没してしまったのだ。

■■■転載おわり■■■

僕はいままで《黄金の夜明け団》系の方式で魔術を実践してきましたが、どうやらルーツはこのエノク魔術にある、というのが本当のところかもしれません。残念ながら伝え切れませんが、とても魅力的な魔術体系です。

KOSEI